ブロックチェーン関連企業の銘柄15選 | 事業分野も紹介します
この記事では以下の項目について解説していきます。 技術の活用を進めている企業 事業内容や証券コード 活用分野
建設業界においてブロックチェーンは人手の不足や材料価格の高騰、重層下請構造の問題といった課題を解決する可能性があります。また、建設現場における作業者のモチベーション向上や安全の確保にもつながるとして大きな注目を集めています。そこで、本記事では建設業界が抱える課題や導入するメリット、活用事例などについてみていきましょう。
建設業は人手不足に陥っています。建設現場は、1箇所の現場に対し1人の現場監督の配置が基本となります。
しかし、現場監督が不足しているため、複数の現場を掛け持ちすることもあり、休日が取りにくくなります。また、担当する現場が工程通りに進捗していても、他の現場監督の担当する現場が大幅に遅れている場合、担当ではなくとも応援に駆けつける場合もあります。
このような状況から、離職率が高くなり慢性的な人手不足に陥るという悪循環になっています。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、アメリカ国内での住宅建設が一時期落ち込みました。5月のロックダウン解除後から住宅建築需要が増加しました。
住宅建築許可件数は前年より高い水準を維持し、それに伴い木材価格の高騰が発生しました。アメリカにおいて、膨大な財政出動と低金利政策が取られた結果、リモートワークで自宅にこもるようになった市民が住宅を郊外に新しく購入したりリフォームする流れになりました。
日本でもその流れが起き、木材関連の価格高騰により仕入れが難しくなり、住宅建設が遅延・中止する原因になっています。
建設工事は発注によって規模や設計が異なるため、様々な専門工事に対応できる人材を企業内部で抱えるよりも、基礎や内装、外構、電気といった各工事に特化した協力会社に外注する方が合理的です。
一方で、このような構造であるがゆえに、情報共有の非効率性や施工責任の不明確化、コストの増大といった課題を抱えています。また、元請け企業は発注者からの支払いを受ける前に下請け企業に工事代金を支払うケースが多く、キャッシュフロー管理も重要です。
現在の建設工事において、進捗や品質を記録するために使われるのは主に「写真」です。
そのため、工事写真は改ざんが行われると、品質を担保できなくなってしまうことから、行政が定めた厳密な各基準に従って撮影する必要があります。
(厳密に言うと、民間工事は準拠する必要がないのですが、実質的には沿ってきた形です)
しかし、工事写真の基準において主流となっている「デジタル写真管理情報基準」が数年ぶりに大きく改訂し、これまでJPEGしか認められなかった工事写真が「JPFGやTIFF形式」も可となり、さらに監督職員の承諾が得られれば動画までも扱えるようになりました。
つまり、これまでは単なる写真というデータに、多くの情報が付加できるようになったのに加え、写真という形式に拘わらない記録も認められるということになります。ブロックチェーンを活用すれば、例えば建設業が自社展開するアプリケーションで記録さえすれば、原本証明ができるようなことが可能になります。
ブロックチェーンだけ切り取るとインパクトがなかったり、生産性をあげる有効的な手段が考えにくかったりしますが、インフラであり、前提技術として考えると、建設業に大きな盈虚を与える可能性を秘めていると思えます。
ブロックチェーン導入のメリットとして、スマートコントラクトによる処理の自動化と支払いの強制執行があります。建築物の工事記録を改ざん困難な形で示せれば、監査証跡としても有効でしょう。
その他にも、支払い用のトークンを使うことで、様々な法令を遵守しながら代金や給与の支払いを自動化できる可能性があります。スマートコントラクトの 仕組みや事例・メリット・デメリットは次のページでも詳しく解説しています。
建築物に使われている建材や部品の商材をブロックチェーンを導入して管理することで、将来的に行われる建物のリフォームや補償を受ける際、あるいは売却するときに情報共有をスムーズに行うことができます。
建物の所有者は各部屋を構成する資材や機器に関する詳細にアクセスできるため、トラブルが発生した際にはサプライヤーに問い合わせることができるのです。当然ながら、ブロックチェーンが動き続ける限り、修繕や売却の記録もログとして残ります。
建設業界でブロックチェーンを活用した代表的な事例を5つ紹介します。
タイの複合会社であり、東南アジア最大のセメント・建材企業「Siam Cement Group」はCordaベースのソリューション「B2P for Procure-to-Pay」を活用し、建材などの調達プロセスを効率化させています。
B2Pは、サプライチェーン管理と調達から支払いまでを一括して、Cordaベースのシステムで行うことで、効率化を図るソリューションです。B2P上で貿易に必要な書類のやり取りや、既存のERPシステムとの統合、発注から決済までのステータス管理などを行うことで、調達プロセスが合理化された結果、SCG社は調達の時間を50%削減できたと発表されています。
前田建設は、システム開発会社であるTRIART(トライアート)と提携し、建設現場で使用する設計図などの情報を厳しく管理します。試験段階では空港などのようなインフラ建設の現場での導入を予定しているとのことで、現場で使用しているMicrosoftのタブレットPC「Surface」にこれらのシステムを搭載することが予定されています。
建設現場には、下請けの会社の作業員や資材メーカーの担当者などの様々な関係者が出入りするため、データの流出なども起こりかねない状況になっています。このような問題に対処するために、構築されたこの新しいシステムは、空港のような厳しい情報管理が求められている建設現場での導入が進められます。
参考:建設現場の情報管理厳密に 前田建設、ブロックチェーン活用
清水建設は東京大学大学院工学系研究科と共同で建設生産プロセスの公理化を目的に両社が共同開発した「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」の実用化に向けた研究開発を進めています。
このシステムは、保存情報に耐改ざん性を付与できるブロックチェーン上に、施工現場で収集した出来形計測データを格納することで、当該データの信憑性を担保するものです。このシステムを発注者の出来形検査に展開することで、受注者が提出した検査帳票の根拠データの改ざんの検証をシステム上で実施できるようになり、検査プロセスの合理化を実現を可能にできるようになります。
参考:清水建設、「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」の実用化に向けた研究開発に着手
日揮ホールディングス(HD)と横河電機は、プラント建設工事現場の作業員の行動特性を可視化し、モチベーションの向上を目指すシステムの実証実験を行いました。事務労働者のモチベーション向上やモラル向上を図る施策は多いですが、建設現場への適用になり注目されています。
現場作業者の行動を可視化し、「好ましい行動」を促進するシステムを試験的に導入。「好ましい行動特性」として「チームワーク」「安全重視」「明るい行動」の3つを定義し、それらの行動特性を発揮した現場作業員に対して現場監督者がトークンを付与することで、現場作業者と現場監督者のコミュニケーションルートや頻度などが可視化されました。そのトークンを飲み物などに交換できるようにしたところ、災害防止、作業員のモチベーション向上に繋がりました。
建設現場での死亡事故が多発しており、厚生労働省によると、死亡事故が建設業界全体で258件で全産業の約3割を占めるそうです。その事故の原因として目立つのが、安全対策への意識の低さがあると言われています。安全行動に対する意識が可視化されモチベーションが向上することで建設現場の事故が減らせることが期待できる、何より「ブロックチェーンらしさ」を付加した展開が期待されます。
参考:プラント建設作業者の行動特性を可視化するトークンシステムの実証実験を実施
スイスのブロックチェーン企業「Linum Labs」と「スイス連邦鉄道」が2018年11月に実施した実証実験では、分散型のデジタルIDアプリケーション「uPort」とEthereumを活用し、鉄道建設の労働者のライセンス情報を適切に管理できるかが検証されました。
uPortのIDに資格情報を紐づける際には、証明書が会社から発行され、労働者のスマホアプリに保存されます。建設現場では仕事を始める時と退勤する時に、スマホアプリでQRコードを読み込み、現場で適切な資格を持った労働者が働いていることを労働時間とともに記録・証明することができます。これらの情報のハッシュはパブリックチェーンのEthereumに書き込まれますが、個人情報や証明書などはオフチェーンで管理されているため、プライバシーが侵害されることはありません。
【スイス連邦鉄道】ブロックチェーンベースの情報管理システムで安全性の向上と業務の効率化を実現
建設・建築業界においてもブロックチェーンの活用が少しずつ進んでおり、本記事で紹介したように、サプライチェーン管理や建材の品質管理などに活用され始めています。
また、BIMやIoTなどの技術とブロックチェーンを組み合わせることで、現場の再現や検証に使える信頼性の高いデータを残しておくことが可能です。建設・建築業界は、多くの事業者が関わる業界だからこそブロックチェーンを活用してみてはいかがでしょうか。