【ブロックチェーンとはそもそもなに?】ブロックチェーンについて深掘りしてみた
ブロックチェーンとは? い:まず今日は「ブロックチェーンについて」始めていきましょう。
DApps(ダップス)は次世代型のソフトウェアとして注目されている技術です。DAppsへの知見を深めるためには、特徴 やタイプ、メリット、デメリットなどについて理解する必要があります。そこで本記事では、DAppsの活用が期待される10の分野などについて詳しく紹介します。
目次
Dappsはブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用することで実現できるアプリケーションの総称です。「Decentralized Applications」の略称で、日本語では「分散型アプリ」と呼ばれます。
従来のアプリでは、特定の管理者によって運営や販売が行われるのが一般的です。一方、DAppには特定の管理者が存在せず複数のデバイスで分散管理され、基盤とする暗号資産を購入すればだれでも利用可能です。
さらに、すべての取引はブロックチェーン上に記録され、管理者すべての合意がなければ書き替えができず、対改ざん性にも優れます。 そんなDAppsの技術は、ソーシャルメディアやゲーム、金融、マンガといったさまざまな目的で開発・利用されています。
参考:dAppsゲームとは?稼ぎ方やおすすめのゲームを一覧ランキングで紹介 | Media Argo(メディア アルゴ)
中央管理者が存在せず、権限が分散されるDAppsは「スマートコントラクト」の技術によって支えられています。スマートコントラクトとは、ブロックチェーンシステム上でコントラクト(契約)を自動的に行う仕組みのことです。
ブロックチェーン上にプログラムを組み、該当条件に達したときに人の手を介すことなく決められたルールに沿って契約が実行されます。この仕組みは、自動券売機にお金を投入し、該当の電車賃ボタンを選択した時点で売買契約が成立する仕組みとよく似ています。
スマートコントラクトの仕組みに関する詳しい内容は次のページで解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
活用の幅を広げているDAppsの特徴として、次の3つが挙げられます。
これらの特徴を理解することで、なぜDAppsに注目が集まるのかが理解できます。ここでは、それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
従来のアプリはソフトウェアを構成するプログラムの「ソースコード」を一般公開していないのが一般的です。そのため、アプリの開発元や企業しかソースを閲覧できず、開発状況が不透明になりやすいという特徴があります。
一方、DAppsはソースコードが公開され無償で利用できるオープンソースであるため、誰でもそのソースコードを確認できます。よって、DAppsをベースにしたアプリを開発しやすいだけでなく、開発ログがブロックチェーン上に永久保存されるため高い透明性を担保できるのです。さらに、暗号資産をアプリに組み込める点もDAppsの大きな特徴といえるでしょう。
Dappsは分散型アプリケーションながらも、実装できる機能自体は一般的なアプリと何ら変わりません。しかし、耐検閲性の高さではDappsが優位といえます。
Dappsは「P2P(ピアツーピア)」のネットワーク上で動作します。P2Pとは「Peer-to-Peer」の略称で、サーバーなどを介すことなく端末同士で直接やり取りできる通信技術のことです。
端末同士の通信に第三者が介入できないため、中央の政府や組織によるネットワークのコントロールや閲覧などを防げます。
常に動き続けられる点もDappsの大きな特徴の1つです。例えば、中央組織が運営や管理するサービスでは、サイバー攻撃などでサーバー停止が起こると関連するすべてのシステムやサービスの利用ができなくなります。
また、システムエラーやメンテナンスの実施中によってシステムやサービスの停止を余儀なくされるケースも少なくありません。一方、Dappsであればコンピューターやネットワークが部分的にダウンしても動き続けられます。
さらに、P2PシステムであるDappsは運営組織が存在せず、サイバー攻撃を実行するには個々のDappsをターゲットにする必要があり、非現実的である点もDappsが常に動き続けられるとされる所以です。
耐検閲性が高く、常に動き続けられるDAppsは、次の3つのタイプに分かれます。
いずれもDappsに分類されますが「独自のブロックチェーンで構築されている」や「流通しているプラットフォームを使用している」といった点に違いがあります。ここでは、タイプごとの詳しい内容について見ていきましょう。
タイプ1とは、独自のブロックチェーンを持つアプリケーションです。既存ブロックチェーンで自立分散できるアプリケーションを構築できます。
タイプ1に分類される暗号資産は、ビットコインやライトコイン、イーサリアムなどがあり、プラットフォームそのものといえるでしょう。iPhoneで例えるなら、タイプ1はさまざまなアプリを使用するためのiPhone本体や販売元であるApple社が開発したアプリが該当します。
タイプ2とは、タイプ1に該当するビットコインやライトコイン、イーサリアムなどのプラットフォームを利用し、開発されるアプリケーションです。既存ブロックチェーン上に開発され、独自のブロックチェーンがない「OMNI」などが挙げられます。
iPhoneで例えた場合、タイプ2はiPhoneの仕組みや構造をもとに本体上で動作するよう設計されたアプリが該当します。
タイプ3とは、タイプ2で開発されたアプリやトークンのプロトコルを活用したアプリケーションのことです。「OMNI」のプロトコルを活用しているMadeSafeなどが、このタイプ3のアプリケーションに該当します。
Microsoft社が提供しているOfficeアプリで例えた場合、タイプ2は「Word」、タイプ3は「Wordマクロ」と理解すると分かりやすいでしょう。
DAppsを利用する主なメリットとして、次の3つが挙げられます。
いずれのメリットもDAppsが注目を浴びる大きな理由といえます。DAppsを活用するためにも、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
ブロックチェーンに保存されたDAppsのデータは不変的であり、改ざんのリスクが低い点は大きなメリットの1つです。すでに締結・公開されている取引やその他のデータを偽造するのは現実的に難しく、改ざんが起こる可能性は極めて低いといえます。
また、スマートコントラクトによって中央管理者を必要としないDAppsでは、契約に関する「信頼」を必要としません。例えば、金融機関に対して記録を改ざんしない信頼がなければ、オンラインバンキングを利用することも難しいでしょう。
一方、データの改ざんリスクが限りなく0に近いDAppsでは、利用者と管理者の間に信頼関係を築く必要がありません。
DAppsのゲームをプレイした際に取得したアイテムやキャラクターなどをユーザー同士で売買することで、収益化できます。また、アイテムや報酬の売買だけでなく、ゲーム内で成績によって収益を獲得する方法もあります。
現在の業界内では「GamiFi」や「Play to Earn」という言葉で広がっており、これらの収入によって生計を立てるプロプレイヤーも存在します。GamiFiに関する詳しい内容は次のページを参考にしてみてください。
DAppsは個人におけるプライバシーの保護にも効果を発揮します。スマートコントラクトによる自動契約をベースに置くDAppsには中央管理者や仲介者は存在せず、当事者間で取引を完結できます。
そのため、アプリケーションを利用する際に個人情報を提出する必要がありません。そのため、個人の情報がアプリケーションから流出する心配がなく、その結果としてプライバシーの保護につながります。
また、Twitterなどの大手SNSでは、企業側が不適切なツイートを削除するなど、言論の自由が奪われていることが問題視されています。しかし、中央管理者が存在しないDAppsにおいては一方的に投稿を削除できないため、言論の自由を保護することも可能です。
ちなみに、プライバシー保護が重要な要素となるビジネスの領域において、ブロックチェーンの市場規模予測やトレンドについて次のページで詳しく解説しています。
改ざんのリスクやプライバシーの保護などの観点で大きなメリットがあるDApps。しかし、利用にはいくつかのデメリットがあるのも事実です。主なデメリットとして、次の3つが挙げられます。
デメリットを理解しないまま利用すると、思ったとおりの効果を得られない可能性もあります。利用してから後悔することがないよう、それぞれの詳しい内容について見ていきましょう。
DAppsはまだ発展途上の技術です。保存するデータの量によっては、取引完了までに時間がかかったり、取引の流れがスムーズでなかったりするDAppsも存在します。
また、DAppsの取引には「Gas」と呼ばれる手数料がかかる場合もあり、サービスを利用する際の扱いやすさを表す「ユーザビリティ面」では課題があるといわざるえません。
発展途上の技術であるが故に、セキュリティ面での課題もあります。特に、イーサリアムのスマートコントラクトに対する脆弱性を疑う声は少なくありません。
場合によっては、ハッキングを受ける可能性もあります。事実、2016年6月には暗号資産が流出した「The DAO事件」が発生し、イーサリアムが分裂する騒ぎとなりました。
ただし、現在はセキュリティレベルを高める機能が開発されており、今後はハッキングリスクは軽減されていくと予想されます。
DAppsを利用の責任はすべて自己で取る必要がある点は、デメリットの1つといえるでしょう。例えば、一般的なアプリケーションの場合は、何らのトラブルが発生した際は
中央管理者に対して問い合わせることができます。
一方、中央管理者を置かないDAppsでは、仮にトラブルが起きたとしても問い合わせるための組織は存在しません。さらに、金銭的な被害があったとしてもそれを取り返すための保証制度はなく、すべては自己で対応する必要があります。
今後DAppsの活用を期待されている分野として、次の10つが挙げられます。
日本ではまだ馴染みのないDefiやDEXも、世界的には将来性の高い分野として注目を集めています。DAppsの未来について理解するためにも、ここでは各分野の活用方法について見ていきましょう。
DAppsはゲームとの相性が良く、今後はさまざまなコンテンツに利用されると予想されます。特に、ゲームをプレイしながら収益化を図れるDAppsを活用したゲームは高い注目を集めています。
従来のゲームでは、多くの時間とお金をかけて入手したアイテムもサービスが終了すれば消失していました。一方、DAppsを活用したゲームであればサービスが終了しても、入手したアイテムやキャラクターをウォレットに保存したり、他のゲームに引き継いだりできます。
収益化を目指す場合に特におすすめのゲーム10選を次のページで解説していますので、参考にしてみてください。
保険業界でもDAppsの活用が期待されています。代表的なものとしてあげられるのが、「Etherisc(イーサリスク)」と呼ばれる保険プラットフォームです。
Etheriscでは、発生した事故や怪我の内容をもとにスマートコントラクトが保険の支払い可否を判断し、自動的に保険料が支払われます。また、暗号資産ハッキング保険などの研究や開発も進んでおり、今後プラットフォーム以外にもさまざまなサービスが登場する可能性があります。
参考:スマートコントラクトとは?仕組みやイーサリアム(ETH)との関係を解説! | Coincheck
マンガもDAppsが活用されつつある業界です。代表的なサービスとしては「Comikabu(コミカブ)」が挙げられます。Comikabuはクリエイターが制作したコンテンツをファンがサービス内で発行されるトークン「コミカブカード」によって支援するクラウドファンディング型プラットフォームです。
コミカブカードは改ざんが不可能なコンテンツにアクセスするための鍵で、他のユーザーに対して譲渡もできます。また、支援以外にもクリエイターとユーザーが一緒に企画から流通までを手掛けることもでき、新しいコンテンツの形として注目されています。
DeFi(ディーファイ)とは「Decentralized Finance」の略語で、一般的に「分散金融」や「分散型金融」などと訳されます。DeFiはブロックチェーンを活用し、銀行や保険、証券といった金融サービスを利用できる分散型金融エコシステムの総称です。
イーサリアムのブロックチェーン上で構築されるDeFiは、従来の金融機関とは異なり中央集権的な管理を必要とせず、金融資産の自律的に管理できます。中央集権的な管理を必要としないDeFiは手数料が安く、地域を問わず誰でも利用可能です。
今後もその特性を活かし、さまざまな用途の分散型金融アプリケーションが誕生すると予想されます。DeFiに関する詳しい内容は次のページで解説しています。
暗号資産やICO通貨などの取引にもDAppsが欠かせません。DAppsの基本的な概念はビットコインから形成されたともされており、後に誕生したさまざまな暗号資産もビットコインから形成された仕組みが応用されています。
中央管理者を置かないDAppsは、暗号資産の取引における透明性をさらに高める可能性があります。また、ユーザー同士の合意のもとでユーザビリティの高い仕様へと随時アップデートできるDAppsの特徴を活かし、暗号資産取引の最適化に大きく寄与するかもしれません。
DEX(デックス)とは「Decentralized Exchange」の略語で、日本語では「分散型取引所」と呼びます。主に、イーサリアムのスマートコントラクトを活用して構築されるDEXは、当事者同士が暗号資産をやりとりする仕組みを意味します。
ビットバンクやbitFlyerといった大手の暗号資産取引所は、企業などが運営していることから中央集権型の取引所に分類されます。一方、DEXは運営組織が存在せず、個人が所有・管理しているウォレット間で取引が完結するのです。
そのため、運営組織が倒産して資産が引き出せなくなるようなリスクもなく、さらには運営企業を狙ったハッキング被害などに巻き込まれる心配もありません。日本ではまだあまり馴染みのないDEXですが、世界ではすでに多く存在します。
今後もそのその数は増えていくと予想されます。DEXに関する詳しい内容は次のページで解説しています。
参考:仮想通貨DEXとは?仕組みや国内取引所・CEXとの違い
データストレージとはデジタル情報の収集や保持を意味し、Dappsを活用したサービスも多く提供されています。データストレージの代表的なサービスとして「Googleドライブ」や「Dropbox」などが挙げられます。
これらのサービスは特定の組織が運営するサービスであり、保守点検やアップデートといった組織の都合でサービスを一時的に利用できなくなる場合も少なくありません。
一方、Dapps上で提供されるデータストレージサービスであれば常に動き続けられるため、一時的な停止やサービス終了などのリスクがありません。また、1つのデータも分散して複数の場所に保存できることから、ハッキングによる情報漏洩リスクも軽減できます。
競馬や宝くじなどといった予測市場にもDappsが活用されます。競馬や宝くじの券を購入すると、賭け金から一定の割合が運営組織の経費として徴収されます。徴収される割合は競馬で「25~30%程度」、宝くじで「5%程度」です。
一方、運営組織が存在しないDappsを予測市場に活用すれば、経費を徴収をする必要がありません。そのため、従来ならば経費として徴収されたものを払戻金として還元でき、さらに不正のリスクも抑えられます。
ギャンブル用の暗合資産としてカルダノやグノシス、オーガーなどが有名ですが、今後はさらにその種類を伸ばす可能性があります。
Webサービスなどで会員登録をする際はセキュリティの観点から、サービスごとに異なるIDやパスワードを設定した方がよいとされています。また、金融機関などのサービスでは、本人確認資料として運転免許所やマイナンバーなどの画像提出が求められるケースも少なくありません。
しかし、Dappsを活用すれば、IDやパスワード、本人確認資料などのデータを安全かつ一元管理できます。実際に個人認証を目的としたブロックチェーンの「Civic」やブロックチェーンベースのID管理システムである「セルフキー」といったサービスが開発されています。
参考:シビック:ブロックチェーンによる本人認証サービス | CRIPCY
DAO(ダオ)とは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、日本語では「自律分散型組織」と呼びます。DAOは中央からの影響を受けることなく、ブロックチェーンに基づいて参加者が自律的に運営する組織のことです。
DAOにおける組織内には「階層」という概念がなく、トークンを保有する参加者によって合意がなされ、あらかじめ定めたルールに沿って意思決定が下されます。さらに、DAO内のルールは1人の人間や組織の気まぐれでルールで変更することもなく、すべてがオープンな状態となっています。
NFTアートの収集を目的とした「PleasrDAO」やアバターを介して独自の仮想空間内で遊びや経済活動などを楽しめる「Decentraland 」といった多くの活用事例があり、今後も認知度や社会的信頼度も高めると予想されます。DAOに関するさらに詳しい内容は次のページで解説しています。
Dappsには、現在まだ課題があるものの、イーサリアムのスマートコントラクトの課題が解決されるにつれて、さらに注目が集まっていくと予想されます。また、イーサリアムよりも効率よくDAppsが開発できるブロックチェーンも登場しており、将来明るい技術の1つといえるでしょう。
ビジネスモデルの在り方を変える可能性があるDAppsを自社にどう活かしていくのかは今から検討しておくべき内容といえます。今後もDAppsの進化から目が離せません。